合理化と効率化
合理化と効率化、よく混同してお話しされる経営者が多いです。
定義を整理すると、
・合理化=「全員の納得と承認」を得て実施する施策
・効率化=「経営側がトップダウンで命令」して実施する施策
日本の高度成長期においては、工場生産が盛んで、現場からのボトムアップにより全員が一丸となって生産性の向上に努めて参りました。経営者、社員が一体となって、さまざまな課題に取り組んでいたエネルギー溢れる時代でした。
まさしく、合理化の時代です。
そんな昭和が終わり、平成に時代が変わると、工場はコスト削減に追われ、海外への進出が盛んとなり日本から工場が移転されていきました。社員の質も変わり、ひたいに汗して働くより、いかに楽にお金を儲けるかを考えるようになり、就職もIT企業や大手企業に人気が集中しました。
大企業では、平成の中頃から「マニュアル世代」という社員の入社が始まり、マニュアルに書いていないことはやりません(分かりません)という、受動的な社員が増えてきたように感じていました。
これを背景に、流行ったのが「効率化」です。経営層が命令して課題に取り組ませる。ストレートにいうと、経営層のビジョン通りに課題を解決する。という感じです。悪いことに、コスト削減もセットで「費用対効果」という重い十字架がのしかかります。リーマンショックの影響もあり、これには「人員削減」という課題も付与され続けてきました。
もちろん、下請け業者と言われる中小企業にも、コスト削減は重くのしかかりましたが、仲買の廃止で何とか耐えてきました。
平成末期から令和に入り、大企業が不安定になり、中小企業も「効率化の波」に飲み込まれて行きます。IT導入、DX化と他人事では無くなってきました。企業によってはSNSに活路を見出そうと必死です。
更に、コロナ禍もあり、在宅勤務や人との接触の制限が入り、どれだけ、身軽(変化に対応できる企業体質)になるかが鍵となってきました。
・今までのやり方が一番 ・その人がいなかったら分からない という属人的な仕事のあり方は、会社をあっという間に追い詰めます。 今は安定しているので、こういう話はうっとおしいかもしれません。 逆にその人が何かで急に居なくなった時のことを想像してみてください。ゾッとしませんか?
次回は、その対策としての「標準化」について書いていきます。
企業の存続が最重要ですが、効率化の先に社員の幸せも見出せるように考えていきましょう。