標準化の先にある、多能工化

前回、効率化により、IT化(システム)を導入し、仕事のやり方をシステム入力のみという方式に変更し(管理や分析はシステムに依存し省力化)、更に、標準化としてマニュアル作成をして、マニュアルに沿って仕事をしていくことで、新入社員や他の職種を行なっていた人材がすぐに戦力化できるという話をしました。


この標準化の先にあるのが人材の「多能工化」です。 中小企業においては、人材不足が永遠の課題です。今いる人材でいかに多くの仕事をこなしていくか、能力差に頼らない安定した業務運営をいかに実現するか。 その答えが「多能工化」です。


会社の業務のほとんどは、定型業務です。
定型業務については、個人差があれど上記の標準化マニュアルをしっかり作って、更新を重ねていけば時間はかかってもマニュアルを見れば誰でも業務が実施できます。システムに投資できる余裕があれば、システム自体にナビゲーション機能をつけてパターン化し、間違いなく処理が完了する方法もあります。

判断業務は一部の管理職の仕事と思われがちですが、それは「承認」という行為と混同しており、実際は、判断業務もこの標準化の枠内で、ここで社員独自の判断が必要なことはありません。
会社のルールに沿って行う必要があり、それを超えるものは上司や上長、経営者にその都度判断を仰ぐのが普通ですので、日常的な仕事において「特別な判断」を行うことはありません。こういう場合は、稟議書や決済書というような企画書類を事前・事後で作成する必要があり、決済後は、この案件も通常の判断業務に入っていきます。
このことから、ほとんどの仕事は、役職に関係なく「会社の定めたルール内で行われる」ので、システム入力業務から判断業務まで含めたマニュアルが、会社の定めたルール通りになっていれば、誰でも自分の固定業務以外も行えることになります。

この状態を人材の「多能工化」といい、導入されれば、「マニュアルがあるものは全て社員全員の仕事」となり、自分の固定業務という、仕事の垣根がなくなります。大企業ではすでにこの仕組みはかなり導入されており、自己申請・調達により総務、庶務、経理の部署を無くしたり、データの入り口は社員に行わせて、一部外注したりしています。

中小企業においてもこの流れが始まり、一般的なソフトウェアやアプリとして、販売管理や会計管理のシステム導入、小売りがあればPosレジの導入等も盛んです。しかし、標準化実施はもちろんですが、多能工化の視点を持っていないと、やっぱり属人化のブラックボックスが排除できず、前後の工程を理解できない仕事になってしまいます。

「あの人に聞かないと分からない」は、人材不足の中小企業においては良い話ではありません。みんな休暇が取れません。そんな会社に今の時代、人材が集まるのでしょうか?

そこで、次回は、成功への大切な思考として「情報の共有化」について書いていきます。

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