部分最適から「全体最適」思考へ
人の思考は、基本的に「自分がよければ良い」というものであると思います。
しかし、個人の生活範囲ではそれで基本的には問題ありませんが、会社の組織の中で「業務(仕事)」をこの思考で行うことは会社にとって良い方向ではありません。
よく聞く「前後の工程を意識した仕事をしなさい。」と経営者がいつも言っていることと大きく乖離するからです。
”前の工程で何かをしたから自分のところに仕事が来ている。” そして ”自分が仕事をしたから後の行程がそれに沿って何かをする。” これが、前後の工程と自分の仕事の成り立ちですが、1人称で自分の仕事に思考が固定されると、決まって前後の工程のことに興味がなくなり「部分最適」と言われる、<自分の仕事だけ上手くいけばいい、前工程は自分が仕事をし易いようにするべきだし、自分はちゃんと仕事をしているから後行程のことまでは知らない。知らなくていい。>と考えてしまうのです。
業務改革において、プロジェクトのスタートで必ず確認することの一つに、「全体最適」化があります。
「全体最適」化とは、前述した部分最適に落ち入って、業務効率が下がっている部分を、会社の仕事全体を見渡すことで、前後の工程を意識した仕事のあり方に変えていくことになります。
前回書いた、情報共有化もこの全体最適思考がないと、偏った情報の提供となり、部署ごとに必要な情報が取得できなくなります。いちいち前工程の担当者に、「あれはどこにあるの?どこを見たらいいの?」と聞き、「見てもよくわからないんだけど」と聞いて、人間関係が悪くなり、会社の雰囲気も暗く、社員のモチベーションも下降していきます。
それぞれの社員がやった仕事の結果が、他の社員の役に立つようにする。欲しい情報が欲しい時にちゃんと入手できるということが、自分以外の社員がちゃんと仕事をしているという確認にもなり信頼も生まれます。そして、自分もまたその輪の中に入っているんです。 会社の雰囲気が良くなり、社員のモチベーションも上がることでしょう。
会社は一つの集合体でありチームです。中小企業はさらにその要素が濃くなります。
業務改革の折に触れ、会社全体の仕事の流れを理解して、社員同士がそれぞれの仕事を理解する。誰一人欠けてもうまく仕事が回らないんだと分かった時、全体最適化の思考は浸透し、お互いに対する信頼や感謝が生まれます。そして、会社の業績もアップしていきます。
業務改革の継続は、経営者にとって、最も有効な戦略ツールと私は考えます。
ただし、その業務改革の成功には欠かせない要素が沢山あるのも事実です。
その要素の取り込みや実行や管理等を、ご支援させていただければと、私は考えております。